演者は男性二人組を想定。

a:昨日、女の子が2メートル大の食虫植物に食われたって事件の記事がツイッタ―で流れてきたんだけどさ。
b:あー、デマか妄想だろ。
a:そう。俺もそう思った。でもツイッタ―でもたくさんリツイートされてたわけ。だからインターネットニュースの記事、読んでみたんだよ。32歳の男の人による犯行だってさ。
b:どこのニュースサイトだよ。
a:まあ、案の定、虚構新聞だったよね。
b:だろうな。で、それがどうしたんだ。
a:その犯人がな、
b:え、そっち?
a:女の子を花に食わせた犯人の動機がなあ、「気の強い女の子が自分を罵りながら死んでいく様を見るのが快感だった」らしくてさ。
b:(aから若干身を引く)おお……。まあ、虚構新聞だからなあ。そんくらい書かなきゃな。
a:あくまで、死ぬその瞬間まで罵って欲しいそうだよ。
b:なんでそこまで詳細に性癖が作り込まれてんだよ。いらんわ。
a:奇特な性癖だよなあ。供給としては「強気な子だけど実は……」ってのが多いからなあ。自給自足したんだろう。かわいそうに。少数派の悲劇だよこれは。
b:いや、その辺の事情分からんけど、まあ同情するわ。どこで道を踏み外したんだろうな。
a:(間を置く)話がズレたな。まあ、そういう強気な女の子のことなんだけど。
b:今度は女の子の話か。
a:供給の多い「強気だけど実は泣き虫な女の子」だと、助けがきたらそいつと上手い感じになるだろ?
b:まあ、なりそうだな。
a:そこでな、気になったんだよ。
b:何が。
a:どこまでも強気な方は、助けた時にどんなリアクションをするのかな、って。
b:ほう。
a:(ニヤリと笑みを浮かべてbの肩を叩く)シミュレーション、しよう。俺花に食われてる女の子やるから助けろ。
b:(気の乗らない顔)仕方ないな。(上手に移動)

a:(bが上手に移動してから)「変態! 死ね!」
b:(aに駆け寄りながら)うわ女の子えげつない。「助けに来たぞ!(戦う動き)とう! とう! 大丈夫か、今花から引っ張り出してやるからな。」
a:「ずるるるる。」(鳩尾から下腹部まで臓物が流れ出てくるジェスチャー)
b:(両手でaの肩を持つ)救急車呼ばな! そういうの駄目だろ! もう一回だ。(上手に戻る)「助けに来たぞ! 今引き上げるからな。」
a:「ありがとう。でも結構よ。自力で出るわ。よいしょ。(膝をつく)ゴトン! あ、足が。」
b:(aを立たせる)さっきと変わんねーじゃねーか! もう一回。(上手に戻る)「助けに来たぞ! 今引き上げるからな。」(俯くaの肩に触れる)
a:「……。ゴプ……。ぐしゃ。」(bの手が触れたらグラついて頽れる)
b:いい加減、血生臭いことから離れろよ! 代われ。俺が女子だ。(中心に移動)
a:(aが立ち上がる)仕方ねーな。(上手へ移動)「助けに来たぞ!」
b:「結構よ、自力で、
a:(bの台詞に被せる)「安心しろよ、今引き上げるからな。(引っ張る)ぐ、ぐぐ、ぐぐぐ……スポーン! (bは引っ張られて上手側に移動。aとbは遠く(上手側)を眺める仕草)……ぐしゃ。ああ、ごめんどこまでも強気な女の子!」
b:死んだじゃねーか!(aの頭を叩く)
a:殺してんじゃねーよ!(顔を勢いよく上げながら)
b:つーか、さっき台詞の途中だっただろ! 邪魔すんなよ!(aに詰め寄りながら)
a:うるせぇ!(bを払うように腕を振る)そもそも、ヒーローが遅れてくるのが悪い!
b:(呆れた表情)またそういう……。分かった、アレだ、花に食われる前に助けるぞ。もう一回だ! また女の子やるから、お前は男やれよ!(a下手から移動せず)「今すぐこの薄汚い手を離せ、この変態野郎! 私は屈しないぞ!」
a:はあはあもっと言って下さい……はあはあ……。例え体が消化されて半分くらいドロドロになったとしても、屈しないで罵って下さいお願いします。(やたら滑舌よく)
b:そっちじゃねーだろ!(aの頭を下に向かって押さえつけ、言い聞かせるように)お前それがしたかったんだろ。最初からおかしいと思ってたんだよ。お前そういう性癖の持ち主だったんだな、この変態! (aの後頭部を掴み、客席の方に向かせる)客席見てみろよ! ドン引きだぞ!(aの頭を放り出すように離す)どうすんだよこの空気!」
a:(客席を見る)あ、ありがとうございます……。よろしければ、罵声とかゴミとか投げて下さったら嬉しいです……。(軽くお辞儀)
b:(後頭部を叩く)筋金入りのド変態だ、お前は!
a:(相方に素早く深いお辞儀)ありがとうございます! もっと下さい!
b:もう止めてくれ!(頭を抱える)
ab:どうも、ありがとうございました!(二人でお辞儀) inserted by FC2 system